テックポエム:019 - Apple Glassを待てない! 2021年のAR/MR Glass 6選

はじめに

Google Glassから始まるスマートグラス/ARグラスですが2021年現在は結構良いものが出始めてきたと思っています。去年も2020年のスマートグラスという形で記事を書いたのですが、あれから1年で変わったこともありますし、2021年版を書きたいと思います。

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こちら動画も作成しましたが本記事は動画の補完になるので良ければ動画の方も是非見てみてください。

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配信に使ってるスライドはこちらです。

slide4vr.nklab.dev

AR/MRグラスって? スマートグラスとは違うの?

スマートグラスなら聞いたことがあるけれど、AR/MRグラスってなんだろう? という方も居ると思います。端的に言えば「みんなが想像しているスマートグラス」はAR/MRグラスだと思って良い気がします。

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電脳コイルとかSAOのオーグマーとかですね。仮想オブジェクトに触れたり、現実世界にテクスチャを重ねるのがAR/MRグラスになります。逆にいえばメガネ型デバイスであっても単に映像を映すだけであったりするのはスマートグラスとして分類されます。また賢い眼鏡は全てスマートグラスなのでAmazonEcho GlassBoseBose Frames のように映像ではなく音声を取り扱うものもスマートグラスとして分類されます。これはこれでウェアラブルガジェットとしては面白いものですが、ちょっと自分がスマートグラスという名前で期待してるものとは違います。なので耳馴染みは悪いのですがAR/MRグラスという言葉を使うのが良いと思います。

では、AR (Augmented reality/拡張現実)MR (Mixed Reality/複合現実)の違いは何でしょうか? リンク先にある通り定義としては異なるものですが製品のマーケティング用語として使われる側面もありますし、そこまで区別する意味はないと思っているので今回は同じものとして扱います。

MAD Gaze – Glow Plus

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Glow Plusは中国のMAD Gazeにより販売されているAR/MRグラスです。ぱっと見単純なサングラスに見えるデザインですが、すでに販売されておりAmazonで購入することもできます。

USB-C DisplayPort (DP Alt Mode)を使ってスマートフォンやPCと接続することが可能です。PCやスマートフォンとミラーモードで繋いだ時にはサブディスプレイとして使えるのでスマホのゲームやYoutubeなどを大画面で楽しんだりすることもできます。旅行に最適ですね。

一方で、AR関連の機能は粗削りな部分が多くアプリも不安定なのでARの完成品を楽しみたいという人には物足りないと思います。

Nreal Light

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NReal Lightは中国のNrealにより販売されているAR/MRグラスです。こちらはauとも提携して去年末から日本で販売しています。auのオンラインショップで購入することも可能です。

CESでもその性能の高さが有名でカタログスペック上はGlow Plusとも似てますがその完成度は大きく異なると言われています。またauと提携しているので日本のコンテンツもソフトウェアとして提供されています。一部のauでは店舗デモもしているらしいので機会があればぜひ試してみましょう。

ThinkReality A3

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ThinkReality A3ベンチャー企業ではなくThinkpadで有名なLenovoによって2021年中ごろに販売予定のAR/MRグラスとなります。

他のデバイスとはことなりエンターテイメントではなく、法人向けに特化しており工場や機器調査などのさいに利用したり、PCと接続してマルチディスプレイとして使うことが想定されています。

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WFHということで自宅からリモートワークをする人も増えたと思いますが、スペースの都合でマルチディスプレイを十分に揃えれてない方も居ると思います。私とか。ThinkReality A3を使う事で5枚のディスプレイを空中に浮かべる事が出来き他のデバイス以上にユースケースがしっかりしているので購入を検討しやすいデバイスかと思います。

Kura Gallium

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Kura Galliumアメリカのベンチャー企業のKuraによるデバイスです。2021年末から2021年初頭にかけて発売とアナウンスがされています。

特筆するべきは8Kで視野角が150°という圧倒的な性能の高さです。他のデバイスとは隔絶した性能になっています。それでいて、コンパクトかつ見た目もすっきりしているという事で、スペック通り発売されれば間違いなく最強のデバイスとなるでしょう。

Foveated Rendering(フォービエイテッドレンダリング)という技術が採用されており、これは目の届きにくい視界の外側の解像度を落とすことで接続するスマートフォンの負荷を軽減する技術です。

Vuzix’s Next Gen Smart Glasses

Vuzix’s Next Gen Smart GlassesはAR/MRグラスの老舗であるVuzixによって開発されるデバイスです。発売日は未定。 こちらはCES2021で登場して大きな話題になりましたが、micro-LEDの採用により非常に薄くほぼ完全に通常のメガネと同様の見た目をしているのが最大の特徴です。

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どちらかというとスマートグラスよりの位置づけになりそうではありますが、このコンパクトさが実現されればスタンダードデザインとして他社も追従してくると思います。

また、大きな特徴としてVuzixはすでに10年以上のARグラスの開発/販売の実績があります。そのため顧客をすでにある程度掴んでおり、その点がこれから開拓をするのみの他のAR/MRグラスとは大きな違いです。

Qualcomm's blueprint

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Qualcomm's blueprintは実際の販売予定のデバイスではなく、XRデバイスに多く使用されるSoCのSnapdragonを開発するQualcommによるリファレンス実装です。正確にはXR1 Smart Viewer reference designとなります。先ほどの紹介したLenovoのThinkReality A3はこちらをベースにしていると言われています。

Quest2を筆頭に多くのスタンドアローンVR HMDに使われているXR2の一つ前の世代のチップですが、接続するスマートフォンとリソースを分配する事が出来多くの処理をスマホで実施することが期待できます。また6DoFやハンドトラッキングなども搭載しており、今後こちらのハイスペックなリファレンスをベースとしたさまざまなデバイスが出てくることが期待されます。

まとめ

毎年出る出る詐欺というかみんなの期待が集まっているApple Glassですが、現状紹介したものをUXとして越えなければいけないのでもう少し温存してから出す気が個人的にはしています。それよりも、今ある、あるいは直近で発売するデバイスで良いものがどんどん出てきているのでそっちをしっかり楽しめればと思って動画の作成や記事の作成をしました。特にWFHにすぐにでも使いたいThinkReality A3が今年の中ごろには出るという事で、とても楽しみです。 とはいえ今年のWWDCApple Glassが出ると非常に嬉しいので楽しみですけどね。

それではHappy Hacking!