IPアドレスは個人情報ですか? Yes、その通り!
はじめに
最近、noteでIPアドレスが漏洩したという事で話題になっていますね。
その中に、
なお、一般的なIPアドレスから、個人情報を特定することはできません。
とあります。言われたい事は分かるのですが最新の個人情報保護の観点からはIPアドレスは個人情報そのものです。せっかくなので今回は個人情報って何? っていう点を含めて解説動画を作成してみました。
動画の補足&解説
個人情報とは?
動画の中でも話しましたが「個人情報」というのは現代の定義では非常に広範囲です。また、面倒なのはこの定義は法律やレギュレーションによって結構違います。
最近の定義はGDPRっぽい内容を採用していることが多いですが、古いものは全然違う事もありますし、GDPR/CCPA/個人情報保護法案の中でも違いはあります。下記のブログが非常によくまとめられているので参考になると思います。
ちなみに、日本では厳密にはIPアドレスは個人情報では無いこともあります。他の個人情報と組み合わせれなければ個人情報では無いですね。なので今回の件でnoteが他の個人情報は管理してないならば、セーフになります。とはいえ、多くの会社では紐づけれる可能性が非常に高いですし、なによりこの手の法律は今後厳しくなっても緩くなることは無いのでGDPR/CCPAに従っておくのが無難だと思います。
それと動画の中で言うのを忘れていましたが、指紋や顔などの生体情報も重要な個人情報です。普通しないでしょうが、生体認証をサーバサイドでやる場合には要注意ですね。
もう一つ注意点として、繰り返しますが言葉の定義の揺らぎが非常に多いことです。「PII」と言ってもどういう意味か一意にはならないので、社内で定義しなおすか「GDPRと同様の定義を使う」 とか「個人情報保護法案の個人情報の定義に準拠する」とかを明示しないと混乱します。レギュレーションによってはPIIが識別子だけを指すケースもありますし。。。
IPアドレスと一意性
IPアドレスは個人の認証には使えません。それは、動画でも述べた通り場所に紐づくので家族や職場/学校、場合によっては集合住宅で同一になるからです。
また固定IP出ない場合はISPの都合の良いタイミングで変わる事もあります。しかしながら、実際にはさほど頻繁には変わらないため、確実性の低い本人識別の手段としては十分に機能してしまうんですね。
警察がIPアドレスを頼りに操作をして炎上するのは、確実性の低い本人確認手段であるIPアドレスを唯一の根拠にしてるように見えるからであって、補助情報として使うのはとても正しいのだと思います。
Re-identificationとビッグデータ
IPアドレスからインターネット上の他の情報をかき集めて「個人」を浮き彫りにする作業をRe-identificationと呼びます。別に犯罪じゃなくてもマーケッティングやアドテクでも使われますね。今は適切に運用する事が求められますが。
そしてこれにMLや統計処理と組み合わせることで、存在しないピースを埋めることもできます。
これは技術的にはとても興味深いですが、情報の取り扱いとしては見せ方も含めて気にする必要があるという事例でもあります。
注目するべき法律/レギュレーション/スタンダード
動画でも話した通り代表的なものは以下です。
- プライバシー保護法 (2020年改訂)
- GDPR (EU一般データ保護規則) <- お手本
- CCPA (カリフォルニア州消費者プライバシー法)
- ISO27701 (ISO27001(ISMS)をベースに個人情報管理を強化)
- NIST Privacy Framework
他にもPマークとかを思い浮かべる人も居るかもしれませんが実はあの定義は少し古いです。個人情報の範囲が少し狭かったり、個人情報処理者の視点が抜けてたります。なので、個人情報の管理がしっかりできてる事を示せるスタンダードのISO27701 (PIMS規格)への準拠を目指す方が今後は良いはずです。
ちなみに動画の中で2018年と2020年にプライバシー保護法が改正と言ってしまいましたが、2017年と2020年でした。すいません。
個人情報の取り扱い方と非個人情報化(De-identification)
仮名化(Pseudonymization)は匿名化(Anonymization)と違いまだ個人情報だと言いましたが、すべての個人情報が同じコントロールをしないといけないわけではありません。 個人情報なので取り扱いルールを適切に作って運用は必要ですが、それがあるならリスクに応じた運用は可能です。 たとえば、生データを触るのは携帯も持ち込めないセキュリティルームじゃないとダメだけど、仮名化後のデータは通常の執務室で取り扱ってもいいとか、そういうルールを定義して実行はできます。
なので個人情報を直接書き換えたりする必要がある業務以外はPseudonymizationを検討するべきだと思います。 GoogleのCloud DLPなどPseudonymizationやAnonymizationをサポートしてくれるツールもあるので実務ではそれを使うのも検討してみても良いかもしれません。
まとめ
IPアドレスは個人情報っぽくは確かに思えないですが、きちんと個人情報です。言われてみればIPアドレスが動的に降られていてもめったに再接続しないから変わらないですよね。
かつては掲示板に書き込めば普通に公開されていた情報なので、そこまで取り扱いは厳しく無かったのですが現状ではやはり個人情報に準じる扱いをする必要があるなとあらためて思いました。
もう1点、GDPRが当時騒がれていましたが日本のプライバシー保護法案もそれにどんどん近いものになってきています。なので、この辺の知識は改めてアップデートしておくのは大事ですね。私も今回調べてみていろいろ勉強になりました。
それでは、Happy Hacking!
テックポエマーのWeekly News! - 2020/08/15 - ローマである!
コミックVケットに参加してきました
はじめに
夏と言えば夏コミ! と言いたいところですが、残念ながら今年はコロナの影響で中止となってしまいました。しかし、代わりにという分けではないのですが今年はVR上での同人即売会であるコミックVケットがありましたので、そちらに参加してきました!
コミックVケットってなに?
コミックVケットは株式会社HIKKYが運営するVR上での同人即売会です。VRChatのイメージが強いですがClusterやSTYLYでも参加可能でした。
この会社は元々、VKET/バーチャルマーケットというVRで使うアバターなどの即売会をVR上でやるというイベントを運営している会社で、そちらはすでに4回実施されています。ちなみに次の5回目は12月末からです。
こちらはVR上のイベントという事で空間デザインも相当に凝っていて、単純に見に行くだけでも面白いです。コミックVケットはその同人誌即売会版というところですね。おそらく前々から話題としては上がっていて今回のコロナの件で「いっちょやってみるか!」となったんじゃないかなぁ、と。
場所はバーチャル秋葉原。実際の秋葉原をモデリングして歩行者天国でブースを設置してる感じでした。なんだか久しぶりにアキバに来た感があってとても懐かしかったです。
なんだか見おぼえのある感じですよね? とらのあなの元気な世界線は安心します。
ちなみに、コスプレスペースもありました。
私は時間が合わずにイベントとかは見てないのですが、開会式とかトークショー?っぽいのはあったみたいですね。あと、VRChatの高画質版は人が多い時に入ると私のちょいツヨPC程度では重力に逆らえませんでしたw 人が少ない時間帯ならVRChatのQuest版やClusterなどでは普通にみれたので、高画質版どんだけ作り混んでるの!? という感じですね。
どういう本が買えたの?
即売会なのでどんな本が買えたの? というのは気になりますよね。以下が参加サークルの一覧です。
ブースもこんな感じでずらーっと並んだものが複数区画ありました。
一通り見た感じでは1次創作がメインだけど2次創作も少なからずありました。あと、VRやVtuberネタが何となく多かった気がしますね。これはプラットフォームの特性が大きいと思いますが、もしかしたら単に最近のイベントの傾向なのかも。ちょっとここ何年か行けてないのでわからず。。。
萌えな感じの作品も燃えな感じの作品も当然たくさんあったのですが、こういうカオスなラインナップもちゃんとあるのが夏の即売会という感じがしてとても好きですw
というかトイレ研究会って阪大何やってんだ。。。 思わず買っちゃったじゃないかw
どういう感じで買えたの?
さて、気になる購入は? という事ですが基本は売り子さんの手渡しでは無く自動販売機方式です。
コミケなどの即売会と言えば売り子さんと話すのが楽しみという人も居ると思いますが、コミケなどと違って朝開いて夜に閉まるという分けでもないので24時間人間は活動出来ない以上仕方ないですね。私はタイミングが悪くて出会えてなかったですが、日中等なら作者さんなどがブースにいらっしゃった事もあるようなので、そのタイミングでなら会話できたと思えます。VRは空間を超越しますが、時間は越えられないので仕方ないですね。
ちなみに実際の作業としてはVR上で立ち読みして気に入ったらPCで買うという感じですね。 立読みは以下のようにVR上で行う事ができ、気に入ったら横のブラウザボタンを押します。
ブラウザボタンを押すと「PC側の」ブラウザが立ち上がるのでそちらで購入をします。 購入はVケットのWebページ、Booth、とらのあなで実際の通販とサークルによって違います。この辺は急きょ開催という事もあってサークルが参加しやすい形にしたんでしょうね。
できれば将来的にはVR上でせめて購入まで完結してくれるとUX的に良いですねー。個人や有志では前払い型のポイントサービスを作るのは面倒ですがクレカならAPI叩くだけで良いものも多いですし、運営会社の
まとめ
正直、まだ粗削りなところはあると思います。特に購入体験の部分はVirtualCastと同じようにVRで完結してくれると非常に良いですね! 他にも権利周りの所とかも色々言われてるけど、この辺はおいおい整備何だろうな。
と、先に課題っぽいことを言っちゃいましたがこれは大きな第一歩だと思います! ミクランドとはまた別な方向性で面白かったですしね。
これから回を重ねるごとにレベルアップして参加者も増えてくるとVRで行われる定例イベントというよりもう一つの夏(あるいは冬)の定例イベントとして認知されるくらい育つと良いですね。
日本の深夜帯とかにアクセスすると外国人勢も結構居て、同人誌見ながら「oh, so cute...」とか言ってましたねw こういうボーダレスな参加が可能になるのはVRの魅力ですよね。あと、プラットフォームがVRChat以外もサポートしているのは良いですよね。ワールドのデザインとか複数対応はとても大変だと思いますが、この辺はUnityがある程度楽をさせてくれるのだろうか?
おもしろそうなので、今度は自分も出す側として参加してみたいなー。
それではHappy Hacking!
関連リンク
VRの未来を感じさせてくれたMIKU LAND GATE βに参加してきました
はじめに
2020.8.8(Sat)〜10(Mon)の三日間、VirtualCast上で開催されていたVRイベント MIKU LAND GATE βに参加してきました。 これはニコニコ超会議の一部として開催されたVRイベントでVirtualCastを使って広大な空間を作成しその中でイベントを開催するという近未来的なイベントです。
同じようなVRイベントとしてはVRChat内で行われるV-KETがありますね。ただ、今回のミクランドでは(後述する買い物機能はありますが)即売会では無くテーマパークなのでそこが最大の違いでしょう。 www.v-market.work
VirtualCastの今出来ることの限界---あるいは限界以上に使ったのが今回のイベントだと思います。VirtualCastそしてVRの可能性を感じられる非常に良いイベントでした。
当日の様子は以下の「#ミクランド」のハッシュタグや公式放送から確認出来ます。
【初音ミク公式VRワールド】MIKU LAND GATE β @ニコニコネット超会議2020夏 live2.nicovideo.jp live2.nicovideo.jp live2.nicovideo.jp
何がすごかったのか?
凄い凄いと言うだけではあれなので、何が凄かったかを書いていきたいと思います。
フラグシップとなるVCIや空間デザイン
今回のミクランドのワールドは「重力を感じる」をテーマに、住宅やビルなどの実際の建築物の設計を手掛ける「東海林健建築設計事務所/Takeru Shoji Architects」の一級建築士によりデザインされたそうです。
そのためか、VR的な非日常はありつつも実際にそこに居て違和感のない普通の空間でした。その実在感が「実際にイベント会場に来ている」というのをより強く感じさせてくれたと思います。 各モデルも非常に精巧でした。
クオリティが凄かったのは何もワールドのデザインだけではありません。今回登場したVCIも非常にギミックに富んだものでした。
たとえば、ボタンを押すと絵が出現するホロポスター。
買ってその場ですぐ使えるバーチャルコンタクトや着るのが少し難しいけど着せ替えコスプレセットなどもありました。パーツを買ってMayaモデル編集ソフト等でアタッチするのではなく、アクセサリの類をその場で付けれるのは良いですよね。
時計やコメントビューアも付いているちびボカロエモートパネル。動画だと少し分かりづらいですがボタンを押すとエフェクトが出ます。
他にもバーチャルドラムやバーチャルギター、バーチャルシンセサイザー等の実際に音が鳴る楽器など、VCIでここまでできるのか! という事を示してくれるまさにフラグシップとなるコンテンツが投入されていたと思います。
今後はユーザで作るVCIも公式VCIにインスパイアされた形のものがいくつか出るんじゃないかと。実際、私も作ってみたくなりましたし。まずはUnityの勉強からだけど。。。
VR上で買ってその場ですぐに使える
今回のミクランドでは実際にVirtualCast上で購入してその場ですぐに利用することが出来ました!
この購入体験は中々素晴らしくてVirtualCast上で取り扱えるものならその場でかって、すぐにカスタムアイテムとして利用できるのでVRとそれ以外を行ったり来たりする必要はありません。現状はVR上で買い物をする場合はQRコードを使って別で決済などが一般的だと思いますが、その場合は決済はさておきデジタルのものであっても実際に手に入れるまでに別の作業が入ります。VR上で買ってそのまま使えるというのは特に今回の公式VCIで出ていたカラーコンタクトやキューティリズムエフェクトだと大きなアドバンテージですね。UXが全然違うかと。
VRM/VCIそしてThe Seed Onlineの思想がまさに体現されてる部分だと思うので、この点はVirtualCast以外のVRにも広がって欲しいです。
ちなみに購入はその場でクレカ決済などではなく事前にVCCというポイントを購入してそちらでやる方式です。
他のVRやオフラインとの連動
VirtualCastのものがVirtualCast内で買えるだけではありません。今回VirtucalCast上で買ったミクさんや東雲めぐさんのポージングフィギュアはバーチャルキャストだけでは無くデジタルフィギュアアプリのHoloModelやMakeAvatarの方でも利用できるようになります。
これはどのプロダクトVRMを採用しているから出来るのかなぁ、と思ったりもしますが特典シリアルコードで買うのでシステム的な連携はそこまでしてないのかもです。
あと、こちらは従来的なQRコードシステムではあるものの、実際の物理的なマグカップが買えます。ゲーム内で購入して実際のものが届くのはセカンドライフでピザ頼めた感じでとても好きです。
このあたりがさらに発展して、APIなどで自動連係できるようになるともっと面白いですね! VR上でのお買い物体験はAmazon的な便利な自動販売機としては向いてないと思いますが、買い物自体は単純にエンターテインメントの側面もあるのでその方向性にはかなりマッチしていると思いますし。
色んな人と出会える。ミクさんとも会える
自分の使い方的にVirtualCastはほぼ配信のために使ってたので、あまり人と会える事を意識してなかったのですが、今回は公式のオープンワールドという事もあって色んな人に出会えました。 パレード待ちとかで割と広場の公式配信前にみんな集まってわいわい話せたので初対面でも話す機会がある状況は良かったなー、と。VR上で人と話すのは本当に人と会って話してる感覚になるので、これはぜひ体験して欲しいですね。VRChatとかのがその辺は向いてそうですけど。
東雲めぐちゃんとやレン君と記念撮影もできました!(公式の) ミクさんとのは残念ながら出会えませんでしたが楽しかったです!
ちなみに記念撮影の一番面白い所は実際にカメラを警備員(社長)に渡して撮影してもらう所です。カメラを渡せるというのが凄いという点もあるのですが、撮影会ではみんな順番待ちで並んだりとVRはデジタルな世界なのにアナログな体験ができるなぁ、とあらためて思いましたw
これは別に悪い事では無くて、実際を体験するという意味では非常に正しい状況だと思います。逆に効率的に行くならVRではなくよりデジタルに寄せた通常のWebとかの方が良いですからね。
画面の向こうとのコミュニケーション。みんなで作るイベント
MIKU LAND GATEはVR機器を持ってる人が直接入って楽しむ以外にも生放送配信としてニコニコ動画と繋がっていました。そのためVRの中だけではなくVRの外側ともコミュニケーションが取れるのですね。生放送配信とかに慣れているとそうでもないのですが、良く考えたら文字通りテレビの中の人と話してるのはすごい不思議な感じですよね。
あと、ニコニコ動画的だなと思ったのが今回は公式の生放送と繋がっているカメラはVR内の参加者ならだれでも自由に操作できました。なにされるか分からない懐が深い。。。 一応認識してる限りだとVR内の案内を買って出る人や色んなアピールをする人など色々いて、結果として非常に盛り上がったんじゃないかと思います。こういう草の根感はニコニコ動画的だよなー、とやはり思いますね。単純に潤沢に撮影係を用意するのは大変という事情もあるでしょうけどw
まとめ
βという事で安定度はまだまだという点はもちろんありましたが、それでもこのタイミングで出して頂いて良かったと思います。
今回はVirtucalCastで何が出来るのか? という技術的展示会の側面もありつつ、同時に単純に楽しいイベントとしてメチャクチャ面白かったので来年以降もぜひ開催して欲しいです。今回はβなので次が正式版と期待したいところですが、あえて永遠のβとしてギリギリを攻め続けてもらうイベントでも良いかもですね。(安定動作な正式版も見たいけどw)
もう一つ、今回は「その場で買ってすぐ使える」という点も含めてVCIの色んな側面を知る事が出来ました。色んなギミックも楽しかったですが特に購入体験が自分は一番印象的でしたね。 この部分をもっと作り混めばアクセサリ的なものをVCIで即購入できるだけではなく、動画やイラストをホロポスター的な感じで販売したり、マンガなんかもVirtualCast内で売買できそうですね。VRで買ってVRで漫画が読めて、同じデータが電子書籍としてPCやiPadでも読めるという世界は魅力的です。なんかちょっと作ってみたいな。。
という分けで、MIKU LAND GATE βの感想でした。改めてになりますが、VirtualCastそしてVRの可能性を感じられる非常に良いイベントでした!
今週は他にもComicVketにやポケモンバーチャルフェストなどVRイベントが目白押しなので本当に楽しみです。
それではHappy Hacking!
テックポエマーのWeekly News! - 2020/08/02 - 10分問タイトル詐欺を反省
今週から「10 min」から「Weekly」に変えて自分に正直になりました。今週はProxyless Service Meshがちょっと面白かったですね。Apache Arrow も1.0になったという事で共通データフォーマットとしてのポジションがますます固まるんじゃないかと思います。
今週のサマリ
動画中の引用記事
テックポエマーの10min IT News! - 2020/07/26 - 車田理論をNVIDIAが実現!?
今週はベンツがついにアニメやSFのようなフロントガラスに映像を映せるようになったのが感慨深かったです。あと、「Universal Print」は地味だけどコーポレートITにはすごいインパクトがあるので早く一般化して欲しいですね。
最後に、Ampereはハードウェア性能で20倍、プルーニング対応で20倍の合計400倍だぁぁ! という車田理論を実現している可能性が出てきました。
今週のサマリ
動画中の引用記事
速報: Google Cloud Next '20 振り返り!【ついに完了】
- Weekly 9: Business Application Platform
- Weekly 8: Cloud AI
- Weekly 7: Application Modernization
- Weekly 6: Data Management & Database
- Weekly 5: Data Analytics
- Weekly 4: Security
- Weekly 3: Infrastructure
- Weekly 2: Productivity & Collaboration
- Weekly 1: Industry Insights
Googleのクラウドに関するカンファレンスであるCloud Nextが絶賛オンラインで開催中です。 cloud.withgoogle.com
Googleのカンファレンスと言えばGoogle I/Oをイメージする方が多いと思いますが、GCP関連に関しては毎年Cloud Nextとして別途開催されていました。
ただ、今年はコロナの影響で他のイベント同様にオンライン開催となっています。その特徴は何と言っても「9週間連続の怒涛の開催!」です。
毎週、「Industry Insights」「Productivity & Collaboration」「Infrastructure」「Security」「Data Analytics」「Data Management & Databases」「Application Modernization」「Cloud AI」「Business Application Platform」の九つのテーマが一つずつ解放されていきます。
それぞれに関して振り返りの動画を作っていこうと思うので良ければ見てみてください。
Weekly 9: Business Application Platform
今週はBusiness Application Platformです。ついに最終週です! Business Application PlatformはAPI + No Codingを表すGoogleの用語のようです。いわゆるEUC (End User Computing)ですね。 とはいえセッションはほぼほぼAPIに関してです。新サービスAPI Gatewayも出ましたし、今まで通りApigeeも大きな位置を占めます。
基本的にはAPI GatewayはシンプルでよりGCP NativeでApigeeは単独で完結した主にAPI販売やサードパーティに提供する時に有用な機能を含んでいるというのが差分になります。
これでGoogleはAPI管理(Apiee)、API Gateway(API Gateway)、サービスメッシュ(Cloud Endpoint)とポートフォリオがそろってきました。
1回目
2回目
Weekly 8: Cloud AI
今週はCloud AIとなります。Googleの提供するAPI Platform, Document AI, Customer Center AIに関する話でした。GoogleはもちろんAIに関しては元々かなり力を入れていましたが、今年は製品が成熟してきたのか新技術を使った目玉機能の紹介というよりトータルソリューションとしての提案がメインになっていたと思います。
特に、コロナの影響でカスタマーセンターは架電数が増える上にオペレータの数も削減せざる得ないので、CC AIのようなスケールするカスタマーセンターの仕組みが大きな鍵になりそうです。
なお、ちょっとボイスチェンジャーの調子が悪い句て非常にノイジーな状態での配信となってしまいました。
Weekly 7: Application Modernization
今回はApplication Modernization という事で、開発や実行環境に運用そしてAnthosによるマルチクラウドと非常に盛沢山な内容となっていました。 まとめ?スライドも今回は最多の120枚です。キーノートも3つありましたしね。
Googleのマルチクラウド戦略、そしてそれを下支えするDockerによるサーバレスのCloud Runの進化が個人的には印象的でした。
発表に使った資料はこちらです。
1回目
キーノートをはじめ全体的なApplication Modernizationのサマリや、Cloud Run, Event for Cloud Run/cloudevent, Cloud Workflowに関して話しました。Cloud Workflowは特に登場を心待ちにしてたものなのでオープンβになる日が楽しみです。
2回目
Stackdriver改めCloudOpsやbuildpack、そしてなんといってもAnthos/GKEの話になりました。また最後にメインフレームマイグレーションの話もあります。
Weekly 6: Data Management & Database
先週までに比べるとずっと数が少なかったですね。それでもSLAを代表にどんどん機能は強化されているので成熟期なのかな、という印象です。
特にCloudSQLはここ数年でかなり良くなっており、SQLServerのサポートももちろんですが以前はOracleの専売特許であって透過暗号やDR構成も難なくこなすようになりMySQLやPostgreSQLでも機能面では十分というのを改めて感じました。
まあ、Googleのポートフォリオ的にはCloudSQLはあくまでレガシー互換で、RDBとしての本命はSpannerのようですがw
発表に使った資料はこちらです。
1回目
Spanner/Firesotreの機能および新機能。また、オンプレミスなどから移行する時にシフト&リフトでどのようなDBを選んでいけばいいかのガイドがメインとなります。
2回目
SQLServer, PITR, DR機能などCloudSQLに関しての話となります。商用DBというかOracleみたいな事が出来るようになったのは本当に感慨深い。てか、HA構成ってただのPDなのは初めて知りました。
Weekly 5: Data Analytics
GCPの本業と言っても過言ではないData Analyticsです。何しろBigQueryの登場はGCEより早いですからね! 感想のサマリとしてはこんな感じ
- Smart Analytics
- Break down data silos!
- BigQuery, BigQuery, BigQuery!
- BI Engine and Omni
- Pricing Control
- 20-30% 性能改善 & 99.99% SLA
配信に使った資料はこちらです。
1回目
今回のキーワードである「Break down data silos!」とBigQuery自体の基本的な動きを軽く解説。そのあと、性能改善や今回の真の目玉であるBI Engineの話をしました。
2回目
3回目
Weekly 4: Security
インフラほどではありませんが、セキュリティにも多くのアップデートがありました。感想のサマリとしては以下の感じ。
- A Safer normal
- Security OF the cloudはもちろん、Security IN the cloudのサポートも強化されている
- Active Assistによるスケールするセキュリティ
- SCCの強化やChronicleの新規登場でセキュリティは益々強化
- Confidential Computingは次のHTTPSになるかもしれないが成熟するのはもう少し先
内容が多いので以下のカテゴリで話していこうと思います。
- Compliance & Standard
- Secure Infrastructure
- Security Scan & Monitoring
- Support of Application Security
- Identity & Access Management
資料はこちらとなります。
1回目
Compliance & Standardから Secure Infrastructureまで。Assured Workloads for Governmentはまだベータですが、政府系だけではなく金融や医療にも広がるとグッと使いやすくなりますね。 www.youtube.com
2回目
Security Scan & MonitoringとDLP API。DLP APIはマスキングに有効なので積極的に活用出来たらと思ってるし、セキュリティスキャン系はGCP単独で運用するならサードパーティのセキュリティ製品無くてももはや良いのではと思ってる。やっぱり利用者のミスで情報流出するという事実にクラウドベンダーも座して見守るだけとはいかんのだろうなぁ。
3回目
アプリケーション開発支援とかIAMの話。セキュリティ回はこれで終わりになります。reCAPTCHA Enterpriseは良さそうですよね。あと、IAM周りも最小権限原則をいかに「スケールさせるか」という点に注力したアップデートが多かった印象です。Ownerでの運用、ダメ、ゼッタイ。 www.youtube.com
Weekly 3: Infrastructure
さて、ここからが本番です! インフラの発表です。こちらはかなりいろんな発表がありました。新しいインスタンスやストレージが出来たりVMWare Engineなど50個以上の発表があって話してると長くなり過ぎたので分割しての配信にしました。
全体的な感想としては各種性能やセキュリティが順当に強化されるだけではなく、GCPが「僕の考えた最強のインフラ」から「顧客の声を聴いたいつも通りの事が出来るインフラ」へ変化しようとしているメッセージを強く感じました。あとTrafficDirectorのProxyless gRPCはサイドカーを使わずgRPCの1.3から取り込まれたxDS APIを使って直接サービスメッシュを作るという事で今後の類似のプロダクトにも影響を与えるリリースだと思います。
配信に使ったスライドはこちら。Google Cloud Next '20 Weekly 3の振り返り - Speaker Deck
1回目
Computeからストレージまでの発表に関しての振り返り。順当にスペックやセキュリティがあがりファミリも増えました。VMWare Engineはマイグレーションとしてリフトアプローチを採るためにはかなり良いソリューションだと思います。
2回目
ネットワーク周りの発表に関しての振り返り。Googleが閉域IP網GCPを活用してる感。途中凸って頂いたので脱線しながら話しています。ありがとうございました。まあ、脱線はいつもか。
3回目
Active Assistなどの運用の話と5Gに関するセッションの振り返り。Active Assistは運用や設計の手間を大分減らしてくれそうなのでこのキーワードで今後も頑張って欲しいです。
Weekly 2: Productivity & Collaboration
コラボレーションツールであるG Suiteに関する発表です。技術的な話はあまりありませんが、コロナで始まったリモートワークに適したツールとしてG Suiteの改めての紹介やビデオチャットであるMeetの新機能の話がありました。個人的にはChrome EnterpriseやAndroid EnterpriseといったIT管理者向けの機能がとても気になりました。
配信中に使ったスライドはこちら。 Google Cloud Next '20 Weekly 2の振り返り - Speaker Deck
Weekly 1: Industry Insights
キーノートを含めた業界動向に関しての発表でした。詳しくは動画の中で話していますが、AWSやAzureの資産をBigQueryで検索できるBigQuery Omniが特に気になる内容でした。
配信中に使ったスライドはこちら。 Google Cloud Next '20 Weekly 1の振り返り - Speaker Deck