Excelを使わない技術 - 正しい神の殺し方
ドキュメント作成技術 Advent Calendar 2014 13日目です。
※ なお、本題とは一切関係ありませんが中2力全開気味なのでご注意ください。
Excel、というツールをご存知でしょうか? まあ、知らない人はいないと思います。
それは表計算ツールであり、グラフ描画ツールであり、データーベースであり、ワープロであり、DTPであり、時にはゲームエンジンとなる万能の釜です。
はじめは計算をシンプルにしたいという素朴な願いから生まれたそれは、やがてアレもしたい、コレもしたいという人の願いを叶え続け、万能と成り果てました。 今では、こんなことも出来ます。
Excelすげーですね!
ここまでスゴイ使い方はあまり見ませんが、方眼紙Excelで作った入力フォームとか、方眼紙Excelで作ったUMLとか、あまつさえ方眼紙Excelで作った表とかを見たりメンテナンスして、職人の凄さにむせび泣いた方なら多いかと思います。人はそれらを神Excelといいい、おそれ、あるいは尊びました。
「ネ申 Excel」問題 という論文もありますし、職人ならざる我々もドキュメントを書き、育てることを来年の抱負とするためにも、Excelを使わない技術に関して紹介していきます。
はじめに言葉があった
Advent Calendarを読むような方の期待をいきなり裏切って申し訳ないですが、Wordを使いましょう。文章書きたいなら、ね。
Wordだけではありません。UMLを描きたいならastahを使いましょう、WBSを描きたいならProjectLibreを使いましょう、画像を表示したいならそもそもjpegで良いのです。なんのために貼り付けてあるんですか?
もちろんツールは何でも良いのですが、餅は餅屋です。無理して全部Excelでやるから無駄に保守性が下がるので、適切なツールを使って、それをチーム/社内標準にすれば良いですし、印刷や他社配布ならPDFにプリントしてやれば良いのです。最近のOS使ってるならそのくらい造作も無いことなので、その作業は本当にExcelでするべきか考えてみましょう
どうでも良いですがWordを「言葉 -> コトノハ」と読むと素敵ですね。
されど我は愚者の夢を見る
神Excelには適切なツールを使うことでさっくりと消滅してもらえば良いのですが、まだ不満はあります。
それはgitなどのバージョン管理システムとの相性です。
「履歴」という謎のシートやページに編集内容や編集者を記載し、さらに「変更箇所の色を赤で変えておきました」的なコメントを見かける事があります。これはExcelを表として適切に使ってても起こる悲しい問題です。
バイナリの差分管理が適切にできれば良いのですが、あいにく私は良いツールを知らないので、コミットログなんかだけだと更新内容が判断できません。
ソースコードみたいにdiffが出ればいいんですけど。
そう、逆に言えばソースコードみたいにテキストで管理することでdiffを含めて適切に管理できます。テキストファイルで管理することで、Pull Requestで差分管理/レビューできますし、良いことづく目ですね。
テキストで書いた場合は専用ツールで書いた場合に比べて表現力が劣ることが多いですが、後述するツールでかなり補えますし、意外に気にならないものです。
巨人の肩
かのニュートンは言いました。「私がより遠くまで見渡せたとすれば、それは巨人の肩の上に乗ることによってです。」と。先人に倣って、まずは既存のツールを紹介します。
最初の一つは一日目のsky_yさんも紹介されているPandocとMarkdown. Markdownはプレーンテキストで論理構造をいい感じに表現出来る単なる「記法」ですが、githubを初め多くのツールやWebサービスが対応してるため、標準化されたWiki記法として人気を博しています。
私も普段書くメモもそうですし、このブログもMarkdown形式で書いています。pandocはMarkdownをHTMLやPDFあるいはWord形式で出力してくれるツールです。 これもかなり便利。以前書いた記事ですが、書きのようにプレゼン資料を作ることも出来ます。
Keynote風のプレゼンテーションをMarkdownで作ってみた - ブログなんだよもん
他にも図形を書くblockdiagとか、サーバの設定を記述するserverspecとか、テスト仕様書を記述するCucumberやturnipも便利です。
そして13番目の奴は訪れる
既存ツールも紹介したことなので、個人的にJSONを使った表なんかも作ってるのでちょっと紹介。 Excelを使った表でデータを管理ってのは個人的にというか仕事でよくやります。サーバ一覧とかACL一覧とかパラメータシートとかそういう奴。Excelで作るのが簡単だし、見栄えも悪く無いですしね。
ただ、前述したとおり、まともにdiffが取れないので、更新履歴シートを作ったり、変更箇所を赤色にしたり、ゴミみたいな運用をせざるえません。
更新が噛み合ったらマージも出来ない阿鼻叫喚。マスタドキュメント系なのでこれはかなり不便で、下手をすると変更担当の人に依頼するという謎の運用になります。
そんな時はこんな感じでJSONで記述して、それを埋め込んだHTMLのJavaScriptを使って表として表示することが出来ます。
"Description":"GlassFish Application Server", "Environment":["production"], "Network":{ "Host":["localhost.localdomain"], "IP":["enp0s3", "10.0.2.15"] }, "OSName":["Linux dev-ubuntu 3.13.0-32-generic"],
わりと見栄えも悪くないので、個人的には結構お気に入り。
JSONだけ外出しにした方が、そのJSONを解析するツールとかが作りやすくて便利(事実、私もserverspec風のツールを作ってます)ですが、IE以外はセキュリティの問題でローカルファイルは参照禁止なので ローカルで管理が中心の時はgistに書いたみたいにHTMLの中に埋め込む方が良いかと思います。
ちなみに、XMLの方が好きって人はXSLTを使うことも出来ます。なにげにIE, Chrome, Firefox, Sfari, Operaとほぼすべてのブラウザが対応していますしね。 こいつが普及してたらまた違ったのかなー。
幼年期の終わり
Excelは良いツールですが、なんでもExcelでするのは微妙ですし、そもそも現代のソフトウェア技術は残念ながらテキストの方が管理に向いています。
私達は、Excelという揺りかごを飛び立ち、新しい世界へと行く必要があります。ドキュメントを作って印刷するだけの時代は終わりました。現在は、作って、メンテナンスし育てる必要があるので、それに見合った方法を色々模索していかないとなー、と思います。
以上、酔っ払った勢いで、主に見出し的に中2力を出した文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは、Happy Hacking!